生きている間に日本ではオリンピックは観られないかも #黒い羊 #オリンピック #Tokyo2020 #東京オリンピック

森さんの女性蔑視発言

森さん（東京オリンピック2020大会組織委員会・会長、元日本国首相*1）が女性蔑視発言をしたと問題になっている件で、まずは事実を確認しよう。日刊スポーツの記事にJOC（日本オリンピック委員会）の臨時評議会での発言全文が載っていた。

この中で2番目の記事

www.nikkansports.comから森さんの問題がある発言を引用すると。

女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。

結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る。

私どもの組織委にも、女性は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる。

女性蔑視や男尊女卑の考えがないとこれらの発言は出ないでしょう。ここに「女性」である必然性は感じらない。そもそも、男女関係なくわきまえることが大事な会議は開く必要がない。

世界はどう捉えたか

森さんの発言自体は（また権威主義者で差別主義者であるあの森さんがなんか言っているな）で済ませてもいいかなと自分は思っていたし、鬼の首を取ったように言うことでもないだろう。そもそも、森さんの発言をその場で指摘する人がいない訳だし、即刻解任という決議を出せない大会組織委員会の方にこそより本質的な問題がある。

今一番の問題は海外の人にどう見られているかだ。おそらく現役の総理大臣の時にはない発信力を持って海外メディアで報道されている。IOC（国際オリンピック委員会）は問題の広がりを受けて、以下のコメントを発表している。

www.olympic.orgこれによると、"The recent comments of Tokyo 2020 President Mori were absolutely inappropriate"（東京2020の森会長による最近の発言は絶対的に適切でなかった）と述べている。

オリンピックのメインスポンサーである（放映権を保持する）米NBCは政治学者Jules Boykof氏の名前で以下の記事を載せている。

www.nbcnews.comこの記事では森さんの発言は"sexism"（性差別）であり、"Mori’s remark is emblematic of deep-seated sexism in Japanese sport communities and the society at large"（森氏の発言は日本のスポーツ界や社会全体に深く居座っている性差別を象徴している）とまで言われている。そうなのである。森さん個人の問題に留まらず、日本は性差別が横行する未開の国との認識が世界に広がりつつあるのだ。

ちなみに、このNBCの記事では「みんなわきまえておられる」という難しいニュアンスの日本語は"everyone understands their place"（みんな自分の立場を理解している）と訳されている（笑）。

これからのオリンピック招致に与える致命的な影響

森さんが東京オリンピック大会組織委員会の会長を続けるかどうかとかの問題よりも、致命的なのは今後のオリンピックの招致レースで日本の都市は大きなハンデ戦を強いられることである。

だって、もし自分がライバル都市の招致担当だったら間違いなく「性差別がはびこっている日本でオリンピックを開催していいのですか」と投票権を持つIOC委員に言うよ。日本の都市に勝つにはそれだけでいいのである。

今年2021年はこのまま行けば東京オリンピックは中止せざるを得ない。なぜなら観客を入れるか無観客にするか以前の問題として、海外から選手やスタッフを集められないからだ。欧米各国は今夏の新型コロナウィルスの感染状況では国外に選手やスタッフを派遣しないだろうし（個人参加はあり得る）、感染が収束している地域からは選手が日本に来ないだろう。仮に新型コロナウィルスへのワクチンがあってもいわゆる『銀の弾丸』とはなり得ないのである。そもそも、アメリカ一国が国として参加しないことになるだけで、NBCは放映しない（＝放映権料を払わない）だろうし、それだけで財政的に東京オリンピックは成り立たない。

順当に（？）東京オリンピック2020が中止になったとしたら、2032年オリンピックに再度東京が立候補しても、2032年以降に日本の都市（大阪・名古屋・広島・福岡、他にもある？）がオリンピックに立候補しても今回の森さん性差別発言による大いなるハンデ戦に勝てない。このまま行くと、おそらく自分TOKIOが生きている間は日本ではオリンピックは観られないだろう。

森さんは辞任の方向

と言うことを考えていたら、一転して森さんは大会組織委員会の会長を辞任する意向を固めたようだ。解任されてもおかしくないこの状況で森さん本人が後任を指名するというのも一般企業では考えられないし、その指名した後任が同年代で男性の川淵さんというのは世界への見え方という点で好ましくはないけれども。言うまでもなく、30代か40代の女性を後任として選ぶのが世界へ発信するメッセージとしては分かりやすい。ジャストアイデアだと、岩崎恭子さんとか高橋尚子さんとか。