第10回JTUトライアスロン・パラトライアスロン研究会
tkfuji.hatenablog.com【その2】は以下。
では、一般発表の後半戦。この【その3】が最後のレポートになる。
以下、メモ。
- バイク*1で乳酸(OBLA*2)カーブ、酸素摂取量(VO2)。
- コロナ禍でもトレーニングを比較的継続できていた選手はOBLA強度までの持久力の低下は見られなかった。
- OBLA強度を越えて最大運動、超最大運動に至る生理的応答に関しては不明。
- スイムとランに関しては影響を検討できてない。
一般発表5の質疑応答
- プールが使えないことでスイムへの影響が大きいのではないか(司会から)。
→アシックスでスイムを測定したが、落ち幅はそれほどでもなかった。パラリンピックの選手は元々泳力が高くないせいではないか。
一般発表5の所感
少ないデータで何らかの結論を出そうとしているのを見ても、そうなのかという印象しか残らない。
一般発表6の講演内容
- 一般発表【6】:「コロナ禍におけるトップアスリートの強化戦略について ー渡航制限下の合宿地とレース出場の関係からー」
- 講演者:森谷直樹
以下、メモ。
- 大会出場には地域差が見られる。ヨーロッパが多くて、オセアニアが少ないとか。
- 実践(大会参加)が少なかったオセアニアの選手が今後どういうパフォーマンスを出すかに注目。
- (オリンピックの)パリ大会に向けてヨーロッパでの合宿がいいのではないか。
一般発表6の所感
これまた聞いてもそうだよねーとしか言えない話。
一般発表7の講演内容
- 一般発表【7】:「日本選手権および強化記録会におけるスイムタイムの関係」
- 講演者:生田目颯
以下、メモ。
- スイムの順位が最終順位に及ぼす影響が大きい。スイムのパフォーマンス向上が重要。
- 目的は二つ。強化記録会の記録から日本選手権の順位が推測できるか。トレーニング指標とすること。
- 日本選手権と強化記録会の記録には相関関係がある。女子がより強い相関関係がある。
- 強化記録会よりも日本選手権の方がスイムのタイムがいい選手がいる。これらのOWS*3が得意な選手を分析することで、トレーニング指標にできるのではないか。
一般発表7の質疑応答
- 女子の方が男子より相関関係が強かった理由はなんだろうか。
→スイムしか見ていないが、女子はバイク*4の集団がより少数のため、スイムの結果が総合成績に影響すると思われる。男子はバイクでより大きな集団となってランでの競争となる。 - OWSでのウェットスーツの有無はどう影響するのか。
→ウェットスーツの有無は検討していない。順位との関係は変わってくると思うが。
一般発表7の所感
質問を受けたら検討をしていないとの点が二つもあった(一つの質疑応答は上記で省略)。実験を伴うものではなく、記録を調べるものなので、事前の検討が足りていないだけではないか。
一般発表8の講演内容
- 一般発表【8】:「日本選手権と強化記録会におけるランタイムの関係」
- 講演者:石倉惠介
以下、メモ。
- 男子は日本選手権と強化記録会の記録には相関関係が一部ある(年によって)。女子は日本選手権と強化記録会の記録には相関関係が低い。
- 女子は10kmの走力が不足している可能性がある。
一般発表8の所感
男子で有意な相関関係があるというのもそんなに関係がなさそうに見えた。
この分析が何かに活かせそうには思えない。目的設定が甘い。机上研究ならなおさら活用できる研究をしてほしい。
一般発表9の講演内容
- 一般発表【9】:「日本学生トライアスロン選手権におけるレースペース戦略の検討」
- 講演者:稲井勇仁
以下、メモ。
- 全ての種目のタイムは総合タイムと相関関係がある。
- ランタイムが総合タイムともっとも強く相関関係があった。
- ドラフティングレースだったためバイク*5で集団が形成されてランタイムが総合成績に影響を及ぼした可能性が考えられる。
- ランでは速度を一定に保つことがパフォーマンスを最大化するための効果的な戦略であることが先行研究から示されている。
- 学生レースではランの終盤でペースが落ちている。一定のペースで走ることが重要。
一般発表9の質疑応答
- 今後の学生レースの競技力向上にはどういう風な仮説があるか。
→ペース戦略を世界の基準(が何かは聞き逃した)で見ることが大事。 - Bグループに一人だけ速い選手がいたが、その選手のデータも入っているのか。
→入っている。(特異データとして)外した検討を行って研究をまとめたい。 - 男子 Aと男子Bはどのようにグループ分けされたのか。
→シード選手や記録の速い選手がAグループ。Bグループに入った選手で一人だけ速くて大逃げのレースを展開したが、Aグループに入っていれば違ったタイムとなった可能性がある。
一般発表9の所感
何も言えね(笑)。
閉会の挨拶
全体の所感
時間配分が不適切。60分の講演と10分の講演が受け付ける質問数が同じなのはあり得ない。60分の講演で質問したいことがあったが、答えられないだろう質問だったので、質問を止めたがそもそもその質問する時間がなかった。
一般発表は10分で早口に専門用語で詰め込まれても着いていけない。講演者の肩書きは大学の先生が主だったようだが、こんな研究でお金がもらえるなんて民間企業に勤める者としてはこれまたあり得ない。トライアスロンに関連する学会レベルが低いだけと思いたいが。
運営側はリハーサルをしてから臨んでほしい。冒頭の司会のセッション(【その1】では記載省略)はプレゼンテーションモードでできていなかったし、その割にはその後の講演者には同じことで突っ込むという(笑)。
質問もZoomで手を挙げて音声でやるとか、学会の基準だとそうなのだろうか。
ZoomのチャットやQA機能を使って講演中にでも質問を受け付ければ良い。60分だと質問する方も忘れちゃうだろうし。
乳酸研究会もそうだが、研究者向け以外に向けてという視点も忘れないでほしい。具体的には、メモを取らなくても済むように資料は後で公開してほしい。普段使わない用語も多いので、メモしている時の変換にも時間がかかるし、専門外なので理解にも時間がかかるから。
また、一つのスライドのメッセージは一つに絞り、受け取り手が理解できるものとしてほしい。なるべくメモ取るよりもスライドを読み込んで理解する時間を取りたい。
今日のオススメサイト
今回の講演者の方々(学術関係の人達)はZoomの質疑応答方法をIT系の勉強会に出て学べばいいのではなかろうか。Connpassのサイトで開催情報は分かるし。
connpass.comここに載っている勉強会ではZoom以外にYouTube Liveでやっていたり、TwitterやSlidoを組み合わせたりして、内容は分からなくても質疑応答の有効な進め方やプレゼン資料の作り方とか学べるだろう。紛れても不審に思われないように100名以上いるような大規模なものがいい(開催の手際も洗練されている)とは思うが。